最近GPSジャマーという聞きなれない装置の存在を知りました。
調べてみると GPSジャマー(GPS Jammer)とは、微弱な電波を発生させてGPSの電波を妨害し、自動車、船、飛行機等に搭載したGPS受信機への電波を遮断することができる装置です(携帯電話の電波も遮断できます)。その遮断範囲はGPSジャマーの周囲1~2mから装置によっては1~2Kmに及ぶそうです。
GPSジャマーは30ドル~1,000ドルでネット上で購入することができ、現にアマゾンで24,800円等で販売されています。
ちなみに別の販売サイトの56,800円の商品説明をみると
●ドコモ、au、ソフトバンク、ウィルコム、イーモバイルなどの携帯電話の電波を遮断・妨害・規制・抑止する携帯電話ジャマー機器です。このジャマー機器がジャミングする範囲内では携帯電話が圏外となり、携帯電話は使用することはできません。
●800・900・1800・1900・2100MHz帯の遮断・妨害・抑止。
●GPS衛星電波L1 C/A コード 1575.42MHzの遮断・妨害・抑止。
●D-GPS機能GPSロガー機器、A-GPS機能ロガー機器を無効にします。
●有効電波遮断範囲は、5~30mの電波を遮断・妨害・規制・抑止します。
となっています。
もちろん日本では無線設備の機能に障害を与えて無線通信を妨害した者は電波法違反となり1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
しかし違法を承知でGPSジャマーを使う第三者、または他の合法目的でGPSジャマーを使う第三者により、マルチコプターに搭載するGPS受信機への電波は遮断される危険性があるのです。
これを私も含めたマルチコプターを運用する側からみるとどうなるか。飛行中のあるとき、突然GPSモードが使えなくなって、マルチコプターは暴走することになります。急に暴走するのですから何がなんだか分かりません(突然のマニュアルモードで ZionPro800 墜落寸前をご参照)。人に当たればどうなるか、恐ろしい話です。
対応策はまだ思案中ですが、とりあえず現状思いつくままを記載します。
(1) フライト日時や場所を事前に公開しない。
(2) フライト前に周辺の電磁波を測定する(低周波電磁波測定器+高周波電磁波測定器)。
(3) 日頃から人の多い場所でのフライトを極力避ける。
(4) マルチコプターが暴走したらとにかく直ちに墜落させる、または着陸させる(水平安定モードまたはマニュアルモードで)。
(5) 手前味噌で恐縮ですが本サイト「簡単 Manual Mode 着陸方法」を練習しておく。
(6) その他2010年の8月と2011年の3月に北朝鮮から韓国に向けてGPS妨害電波が発せられた際に韓国政府が対応したといわれる方法、GPSアンテナをアルミホイルで覆う(でもこれだとGPS電波自体も届きにくい気がします)。
最低限、日本ラジコン電波安全協会のラジコン保険(2年間4,500円で1事故につき1億円限度)にだけは加入することをお勧めします。
11/1 追記:その後さらに調べてみるとプロポの送受信を妨害する装置(2.4Ghz帯全域に対して妨害電波を発信)も売られていて、これを使われるとマルチコプターはプロポ操作できなくなります。ただ、これだけなら通常フェイルセーフ機能が働きマルチコプターは自動帰還します。しかし、もしGPSジャマーも同時に使われるとマルチコプターは完全に制御不能に陥ります(フェイルセーフはGPSを前提、プロポ操作できないのでマニュアルモード等で着陸させることも不可)。あとは暴走して墜落するだけです。やっぱり恐ろしい。